犬種特有のトリミング技法

「trim=形を整える、揃える」という意味があります。日本では、犬体各部のバランスをとるために様々な技法で不要な被毛を取り除くことをトリミングといいます。トリミングと聞いて、皆さんはなにを思い浮かべるでしょうか?犬や猫のシャンプー、カット、爪切りなどをイメージする方が多いと思いますが、その通りです!

犬種に合った技法でハサミやバリカンで被毛をカットしたり、トリミングナイフなどを使って被毛を抜き取ったりもします。

トリミング技法完全ガイド!犬を美しく仕上げるために

トリミングの重要性と準備

トリミングの目的と犬の健康への影響

外見の美しさ

トリミングによって犬の被毛や体型を整えることで、犬の見た目の美しさを最大限に引き出します。犬種によっては特定のスタイルやカットが求められることもあります。

衛生的ケア

トリミングをすることで皮膚や被毛を清潔に保ちます。定期的なブラッシングやシャンプーによって、汚れや皮脂を取り除き、皮膚の健康を維持します。

毛玉・もつれ・抜け毛を取り除く

長毛犬種や被毛の密度が高い犬種では、抜け毛や下毛(アンダーコート)が絡まって毛玉ができることがあります。トリミングによってブラッシングを行い、毛玉やもつれを予防します。ダブルコートの犬種は換毛期といい、被毛が生え変わる時期が年2回あります。抜け毛が体に残っている状態だと体温調節に影響するので、日々のブラッシングや定期的なシャンプーでしっかり取り除いてあげましょう。

皮膚の健康を保つ

適切なトリミングをすることで、皮膚の通気性を高め、皮膚病や感染症の予防に役立ちます。特に耳は外耳炎になる子が多く、耳掃除は耳の健康にとても大切です。適切な周期でトリミングすることは皮膚の健康を保つために重要です。他にも、足先は汚れやすいので清潔でいることを心がけましょう。お腹などの毛が薄い場所は寄生虫(マダニ、ノミ)が付きやすい場所です。トリミングに出すことで、体に寄生虫がついていないかチェックもしてもらえます。

トリミングに必要な道具と用意するもの

  • ハサミ、バリカン
  • スリッカー、コーム
  • シャンプー、リンス
  • 爪切り
  • 鉗子、コットン
  • トリミングテーブル、ドライヤー

ブラッシング

ブラッシングの目的と適切なブラシの選び方

抜け毛を取り除き、毛玉、もつれをほどきます。ブラッシングをすることで皮膚に刺激を受け、血行が良くなり新陳代謝が上がります。新陳代謝が上がると免疫力が向上します。そして、犬の毛艶や皮膚の健康にも良い影響を与えます。栄養素が正しく供給され、皮膚が正しく保湿されることで、毛並みが美しく艶やかになり健康になります。

マット状(フェルト)になった被毛や絡まった毛の処理方法と注意点

全身がマット状(フェルト)になってしまうとバリカンでツルツルにするしかありません。毛玉と毛玉がくっつき密接になっているのでブラッシングでほどくことはできないからです。簡単な毛玉ならブラッシングでほどくこともできますが、犬にとっては皮膚を引っ張られ痛い思いをさせられる作業ということで、ブラッシング嫌いになったり、痛みがトラウマになり噛みついてくるようになる子もいます。そうならないように犬の様子を観察しながら作業してください。

シャンプーとコンディショニング

適切なシャンプー剤とコンディショナーの選び方

犬種や被毛の特性に合ったものを選びましょう。長毛犬には保湿成分が多く含まれたモノを選ぶと被毛1本1本が保湿され絡みにくくなります。敏感肌の犬には、低刺激シャンプーが適しています。刺激性があるシャンプーを使うと皮膚が悪化する場合があります。また、白い被毛を持つ犬には、白毛を美しく保つための専用のシャンプー剤があります。獣医師やグルーマーに相談し、適切なシャンプー剤を選びましょう。

ペットには基本的にペット用のシャンプー剤を使ってください。人間に肌は弱酸性ですが、犬は少し中性寄りの弱酸性と言われています。人の皮膚より敏感で繊細な皮膚をしているので、人間のモノを使うと皮膚病の原因になってしまう可能性があります。界面活性剤などの添加物が入っているモノは使わないようにしましょう。

そして、香りの強いシャンプー剤も注意しましょう。人にとって良い香りだとしても、犬にとってはそうでもありません。犬の嗅覚は人間よりずっと優れています。更に香りにも好みhがあるので、強い香りや嫌いな香りは犬にとってストレスや不快感に繋がります。人間と犬や猫たちでは香りに対する考え方が違います。人間の自己満足にならないように香りを選んでください。

犬の肌や被毛の状態を考慮し、安全で肌に優しいシャンプー剤を選ぶことが大切です。

シャンプーの手順と注意点

シャンプーをする前にブラッシングをしましょう。ブラッシングをすることで被毛についたホコリなどが取り除けます。その後浴槽に連れて行きシャンプーをしますが、泡をつける前に体全体をよくお湯で流してください。ブラッシング同様、少しの汚れなら落とせます。落とせる汚れを落としてからシャンプーした方が、泡とお湯が皮膚に届くまでの時間が早くなります。

カットとトリミングスタイルの選択

犬種や個体の特徴に合わせたスタイル選びのポイント

犬によって被毛に違いがあります。同じ犬種でも毛量が多い子と少なめの子と分かれます。柔らかい毛質に固めの毛質、ウェーブ状の毛が生えている子もいればストレートの子もいます。マルチーズがプードルのようにまんまるアフロカットはできないように、毛質によってできるカットとできないカットがあります。短毛犬種は伸びる毛の長さが決まっているので、頭にちょんまげは作れません。

カットの基本手順とトリミングテクニックの解説

耳掃除と爪切り

正しい耳掃除の方法と注意点

犬の皮膚は人間の皮膚と比べると非常に薄いです。だいたい1/6くらいの厚みしかありません。特に耳の中は皮膚が薄く弱い子も多いので耳の病気になりやすいです。犬種によっては耳の中にも毛がたくさん生えているので蒸れて外耳炎の原因になる場合もあります。耳の中の毛を抜く時が皮膚を傷つけやすいので丁寧に作業しましょう。

安全な爪切り

犬の爪の中には血管が通っているので、血管がどこまで伸びているか確認しましょう。爪切りの時に血管を切ってしまうことがよくあります。犬にとってはとても痛いので血管を切らないように気をつけましょう。爪の色が黒い犬は血管が見えないので少しずつ切っていきましょう。

フィニッシングとアフターケア

トリミングの仕上げ

短毛犬種はブラッシングをして抜け毛をしっかり除去しましょう。全てを抜き取れるわけではありませんが、自宅でのお手入れが楽になるようにできるだけ取り除きましょう。この時、スリッカーやコームではなく、ラバーブラシと獣毛ブラシと呼ばれるブラシをオススメします。抜け毛にはラバーブラシ、毛艶を出すなら獣毛ブラシがgoodです。

トリミング後のケアと快適な過ごし方

犬のトリミングは、正しい技法と手順を学ぶことで安全で効果的なケアが可能です。この記事では、トリミングの基本から具体的な手順まで詳しく解説しました。トリミングは犬との絆を深める大切な時間でもありますので、十分な準備と丁寧なケアを心がけましょう。美しい仕上がりと幸せな犬との時間を楽しんでください。

犬種や被毛の特性によって必要なトリミングの内容や頻度は異なる場合があります。犬にとって最適なケアを行うことが大切です。

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